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北海道のラリー情報交換サイト「Rally Do!」ブログ

北海道地区のラリーの情報を幅広くお伝えするブログです。

竹下紀子のマレーシア参戦記

参戦記 第1話

新コーナーで参戦記をお届けすることにしました。第1話は、マレーシアの国内選手権に参加するという竹下紀子さんにお願いすることに。いきなりの海外編ですが、これからは道内から道外、そして海外でも、オイラの独断と偏見で原稿をお願いすると思います。イヤでも断らないでください。

竹下紀子のマレーシア参戦記

マレーシア選手権第4戦に行ってきました
RallyDo!のおっちゃんのリクエストにお応えしてマレーシア国内選手権レポートです。

「埼玉のラリーテックワークスの金雅志選手と12月のマレーシア選手権の最終戦に出ませんか?」そんな話になったのは9月下旬のこと。初めての海外ラリーに、とりあえず行くと決めて、後のことは後から考えよう・・・と、すっかりその気になってしまいました。行くと決めたらまずは準備から。クアラルンプール(以下KL)に水曜日に入れる便で、予約時点で一番安くて便利だったシンガポール航空の羽田-シンガポール経由-KL往復を予約。航空会社の正規早割、ネット予約で燃料サーチャージ含め6.9万円、これにAIR DOの羽田往復が約2万円。その他、用意したのはパスポート(更新)、国外運転免許証(国際免許)、JAFの海外競技会出場証明書。パスポートと国際免許は平日昼間しか申請(国際免許は受取も)できないので注意。破傷風の予防接種にも行きました。競技ライセンスはインターが必要です。

12月7日の夜に千歳を出発し、羽田でドライバーと待ち合わせ、一緒に深夜0時30分の便でシンガポールに向かいました。シンガポールまでは約6時間。シンガポールには入国せず、そのままKL行きに乗り継ぎ。現地時間の9時半にKLに着き、マレーシアに入国。時差は1時間。夏です(現地の人によれば、今は冬で涼しいらしい)。空港には今回誘ってくれた大澤英道さんが迎えに来てくれ、そのままレンタカーを借り、KL市内のMRUモータースポーツに向かいました。

1MRU外観

2ラフィーク夫妻
MRUはMuhammad Rafiq Udhaya氏が経営しており(ちなみにMRUは彼の名前の頭文字)、彼自身も今年のマレーシア選手権を元クスコ車のインプレッサGDBで走り、既にマレーシアチャンピオンが決定済み。彼は他にもいくつか会社を経営しているとのこと。ちなみに年は私と同じで、実は奥様に頭が上がりません。ガレージの内部は日本の大きめのラリーガレージという雰囲気で、この日は10台近いラリー車が入っており、我々の乗るプロトン・サトゥリアネオも奥の方に入れてありました。そこにいたチームのメンバーと顔合わせをした後、金選手ともどもシート合わせをしました。この後、車は追加整備され、まとめて8台積みの大型トレーラーに乗せられ、ラリー会場のプルリス州に向かったようです。
4タワー
マレーシア最大の都市、KLは人口180万人強(札幌と同じくらい。国全体で3000万人弱)。首都機能は新首都に移転しつつあるらしいですが、経済的にはさすが首都で、札幌で言えばススキノっぽいところは水曜の真夜中も賑わっていました。市内を走る車はプロトン率高し。そのほかペロドゥア(ダイハツ系)、トヨタ、ホンダなども多いです。民族としてはマレー人が最多ですが、中国、インド、ポルトガル、その他いろいろな民族が混在、混血している多民族国家で、言葉もマレー語(公用語)、英語、タミル語、広東語など、複数話せる人が多い。料理も各民族料理とそれ由来の混合料理で、多彩でおいしい。宗教はイスラム教が多数派です。そのせいか、酒は売っていますが価格が高く、飲んでいる人も少なめで(町の食堂には置いていなかったと思う)、大人が普通にジュースで盛り上がっていました。私は元々飲めないクチなので、特に勧められないのがむしろ有り難かった。通貨はリンギット、RM1が日本円で約30円に相当します。

5高速風景
翌日は朝から高速で一気にプルリスまで移動。高速E1号線を北に向かってひた走ると500km程でプルリス州に着きます。KLを出て少し走ると周りは油ヤシ(パーム油を取る植物)の農園が続きます。高速料金はプリペイドカード(KitacaとかSuicaみたな感じでピッと使う)または現金で支払い。ETCのようなシステムもあるけど、あまり一般的ではないようです。
6修理中
車検制度が無いためか、高速で故障して路肩で修理している車が結構います。バイクは無料で自由に通行できるということで、バイクも多い。しかもスーパーカブ率高し(80ccらしい)。交通事故は日本に比べるとかなり多いようです。

8ペダンバサール
高速をひたすら北上し、下りて少し走ってタイ国境のペダンバサールという町に着きました。国境の町だからか、看板にはタイ文字表示もあり、食堂も甘酸っぱ辛いタイ風味のおかずが多かったです。タイナンバーの車も走っています(タイ文字と数字で書いてあるので区別がつく。マレーシアナンバーはアルファベットと数字)。ここの国境を越えればすぐにタイでしたが、レンタカーが「国内のみ」なので、タイには行けず。
プルリス風景
ラリーはこの町の南側にある広大なサトウキビ農園の道で開催されました。この辺はこれまでにあまり無かった広く開けた風景がなんとなく北海道っぽいです。北海道といえば、ラリー関係者はもれなく「APRCをやっている北海道」を知っていてビックリ。
9コテージ
ラリー中の宿泊はHQがあるリゾートのコテージ。ツインルームの1人使いでした。

木曜日のラリーの行事は参加確認のみ。ライセンスと免許の確認など日本と同じです。台数は23台(レギュレーションの上限は40台)、クラスは2駆4駆入り混じった排気量別区分が基本で、1400、1600、2000cc上下で分け、それに加えて改造範囲でも区分があり、ラフィーク選手のN4のインプレッサ以外は全員“P”クラス。Pは国内向けの規定で、ホモロゲ無しで、改造できる範囲も広い。出力アップが50%以内なら他のエンジンへの載せ換えも可です。また、外国からの選手はエントリー代と宿泊費を主催者が補助してくれるシステムがあるそうで、外国からのエントリーを積極的に受け入れようとしているようでした。

10コース図
金曜日はレキ。やり方はFIA方式で、各SSをレキスケジュールに従って2本ずつ走行し、ノートを作成します。各12~15km程度の4ヶ所。林道(?)は農園の道で、数百mの直線と直角くらいのコーナーの組み合わせが多い。ロードブックにはそういうジャンクションが全てコマ図に示されていて、SS中のコマ図が1本につき60個くらいあります。コース内にも三角の赤いマークが立っていて、コマ図番号が書かれていました。スタックした時はコマ図番号を言えばピンポイント的に場所を特定できるので、実はとても役に立っていました。一口に農園の道と言っても様々で、砂利が入ってよく締まった道から、芝生のような草の上、田んぼのようなマッドなど、めまぐるしく変わります。アップダウンはあまり無いです。天気は朝からあいにくの雨。SS1で前が詰まっているなと思ったら、なんと最初にスタックしたのはゼロカー(青/黄のミラージュ風のやつ)。曲がったら突然そいつが出てきたので避けて上ろうとしたら、我々もあえなくスタック(その前の車)。ああ、泥はスタックするものなんだ。SS2 は後回しにされ、SS3に行ったらまたマッド。でもここはなんとかクリア。
12レキSS4
SS4に行ってみると、スタートしてそんなに行かないうちにマッドな直線の向こうにもう誰かがスタックしていて、トラクターが救出しているのが見えました。しばらく手前で待ってアタックしたところ、我々はこの直線はクリアできたものの、その先のコーナーでとうとうスタック。結局このトラクターに出してもらいました。このSSは1周でやめ。もう行く気になれない。こういう路面状況の時にはレキを1周でやめるのは普通らしいです。最後にSS2に行き、ここもドロドロながらなんとか2周走ってレキ終了です。
13洗車屋
洗車は洗車屋さんへ。レキでどろどろになった車も洗剤ワックス手洗い、室内清掃付きでキレイにしてくれます。ちなみに料金はRM18(約500円)でした。

14サトゥリアネオ
土曜日はいよいよ本番。セレモニースタート会場にて、我々がドライブするサトゥリアネオ1600です。安全装備と足回り、CJミラージュ用のクロスミッション付き、エンジンはプロトン製ノーマル。
15選手
今回のドライバー金雅志選手(左端)、私(右端)、中央の2人は売り出し中の若手クルーです。右がドライバーのフランシス君。今年から本格的にラリーを始めたにも関わらず、クラス優勝2回の好成績だそう。
16セレモニアルスタート
ゼッケン1から順に紹介され、スタートして行きます。朝は湿気も少なくよく晴れていましたが、この時間(10時頃)にはにわかに涼しい風が吹いて小雨模様。本当にめまぐるしく天気が変わります。

17タイムカード
まずはラリーの様子をご紹介。TC、SSなどは北海道のラリーと全く同じFIA方式です。タイムカードもよく見る形式。一つだけ違ったのは、TC、スタート、フィニッシュなど、オフィシャルが何か記入するたびにオフィシャルが持っている記録用紙(ゼッケン何番に何時何分と書いたかを一覧にして記録する用紙)の確認とサインを求められること。ボードに全員の時間が書かれたものを見せられて、自分の記録の脇にサインする。
18リエゾン風景
リエゾンはのどかな農村の道です。
19SSスタート
TCとSSスタート。これはSS内で何かあり、スタートが止まっている様子。
20TCオフィシャル
SS内の状況をオフィシャルに確認しています。右のオフィシャルが手に持っているボードに、例のサインをする記録用紙が挟んである。

SS1は様子見ながらもクリアしましたが、SS2は1ヶ所で何台もスタックしているコーナーがあり、後から行った我々はオフィシャル指示でそこをバイパスし、フィニッシュまで走行しました。こういう場合は最初にスタックした選手はスーパーラリー扱いでクラス最遅タイム+15分のタイムが与えられ、その後の選手には同クラスで妥当なタイムで走った中で一番遅かった選手のタイムが一律に与えられるようでした。スタックでスーパーラリーになってもその後のSSを走ることができ、計測したSSは自身のタイムが与えられました(このあたり、北海道の冬のラリーのような感じです)。

21洗車
サービスパーク入り口には洗車サービスがありました。が、1日目は時間が無かったり水が無くなったりで洗車を受けることはできず、これは2日目の写真です。消防ホースのような太いホースで水をかけてくれる。「ここを入念に洗ってくれ」等のリクエストも一応聞いてくれます。
22サービステント
年間の「チームカップ」に登録している(毎戦のエントリー代とは別に年間登録料を払う)MRUチームとGSRチームには、主催者がテントを用意していました。白い屋根の部分は奥まで全部MRUの陣地。デカくて立派です。左端がケータリングスペースで、右側が作業スペース。今回は6台エントリーでしたが、それ以上に広い。サービス時間はデイの始めに10分、セクション間が20分、デイエンドが45分。デイ1の初めにサービスがあるのはなぜ?と思いましたが、あまりにめまぐるしく変わる天気で納得。今回大きなトラブルは無かったのでルーチン整備と泥落としが主な仕事。
サービス調理風景 サービスごはん
ケータリングはラフィーク選手の奥様ベナさんが仕切っていて、スパゲティ、サンドイッチ、カレー2種類、その他おかず、果物などが現地で調理されていました。つい食べ過ぎです。

23観客
SS3に向かうリエゾンにて。コースには一般道と併走するところも多く、路駐で見物している人がたくさんいました。もちろんタダ。
24SS4.jpg
先頭の4WDターボ勢は着々とコースをクリアして行きますが、後続はまさに泥地獄。SS3は走りきったものの、SS4はレキ時にトラクターに引かれたコーナーにすでに3台も先客が。後ろにもさらに2台追いついてもうどうにもならない状態です。しばらくするとオフィシャルのランクルが来て、前の3台は前に出し、後ろの2台はそのままバックで戻るように指示し、真ん中の我々はUターンする格好で引き出した後、スタート方向に戻り、適当なところで一般道にショートカットし、サービスパークに戻るように言われました。しかしバックで戻ったヤツがまたスタックし、それをかわそうとした我々もまたスタック。またランクルに引っ張ってもらってようやく脱出しました。SS5はSS1のリピートで、1日晴れていたおかげでほとんどドライコンディション。SS6はSS2のリピート。SS1のスタートから1kmか2kmしか離れていないのに、スタート前でシャワーのような雨。地面が低いのか1回目の時より水気が多く、一部の路面は深いマッドです。ここはSS2で大勢スタックしたコーナーの手前の直線でスタック。とうとう我々もスタックの当事者です。これが1日目の最終SS。2WDの選手からCROに「とても走れない。なんとかしてほしい。」「自分は前のヤツに止められてスタックしただけで、あいつがいなければ通過できたはずだ。」等々エンクワイアリシート(CROに対して意見や要望を言う時に書き込む用紙がロードブックに綴じ込まれています)が何枚も出されたらしく、スチュワードミーティング(審査委員会)でペナルティや翌日のアイテナリについて長い間話し合われたようです。

25泥地獄
デイ2は当初のアイテナリがキャンセルされ、前日にFF車がフィニッシュできたSS1と3のコースを2本ずつ、SS計4本に変更されました。SS7はSS3のリピート。走ってみると、水はけの良い所はまずまずのコンディション、しかし、悪い所はさらに水が流れ込むのか、前日よりむしろ泥が深くなっていていて、とうとう前走車がスタックしていて万事休す。
26ハマっていマス
後ろを止めに行くと、直後の2台はエスケープゾーンに入れたものの、その後ろはだいぶ手前で次々とスタック。一番後ろに見える車のあたりに3台分くらいの人が見えたので、更に後ろにもまだ何台かスタックしているようでした。しばらく待つと前後からランクルが到着し、コースクリアして行きました。
27スタック
さっきの場所で2台目だった我々は、前の車が引き出された後に自力で脱出できましたが、フィニッシュ前でまたスタック。左ラインの方がましだと判っていたのに、前に誰かがはまった跡に引っ張られた。ここも泥のワダチに降りて後ろの車をエスケープさせ、彼らはそのまま別ルートでフィニッシュに向かい、我々はランクルに出してもらいました(ここはペナルティは付かなかった)。SS8はSS1のリピート。他のSSはあんなにも泥沼なのに、ココはほぼドライ。ようやく気持ちよく走れてタイムもマイベック付きのゼッケン8に1秒差の好タイム。うれしい。サービスに戻ると、残りのSSは2本ともキャンセルされ、このままパルクフェルメに入るとのこと。

28パルクフェルメ
パルクフェルメは泊まったコテージ群の前にあるセレモニーフィニッシュの会場です。暫定結果が出るまで休憩したり、写真を撮ったりして待ちました。
29優勝者
フィニッシュでは排気量の小さい方から順に表彰され、完走した全員がポディウムに上がります。写真は総合優勝のカラムジット&ダグラス組。国際的にも有名なドライバーなので、知っている方も多いと思います。排気量クラス別の他に、駆動別の順位、総合順位、ジュニア(25歳以下のドライバー)内での順位が別集計で表彰されます。スタート会場で一緒に写真をとったフランシス君はP10クラス2位&2駆2位&ジュニア1位、という具合。我々はP10 クラス3位&2駆3位でした。
30年間表彰式
セレモニアルフィニッシュの後は、隣の会場で年間表彰式が行われました。挨拶では来年のAPRCの話や外国からの選手にたくさん来てほしいなどの話があり(その他はマレー語で判らず)、このあたりは同じく国内選手権であるJRCとの違いを強く感じさせられました。
31チーム集合写真 32表彰式後
年間表彰式の後に、今回参加したMRUのメンバー全員で記念撮影。その後、外に出て金選手と。

33クアラルンプール空港
帰りは月曜の朝から移動し、夕方のKL発シンガポール経由羽田行きのシンガポール航空で帰ってきました。空港で5人でご飯を食べたらRM200(6000円)以上もしてビックリ。前日にお腹一杯食べた食堂は5人でRM30(約900円)だったのに。ちなみにコーヒー、紅茶は町の食堂ではRM1前後(約30円)だったのに対し、空港で入ったカフェではRM12(約360円)でした。

ラリー自体はスタックばかりでしたが(ちなみにランサーやインプレッサは誰もスタックしなかったと思う)、全体を振り返ってみれば実に良い経験ができました。機会を作ってくれた大澤さんはじめたくさんの人たちに感謝しつつ、機会あったらぜひまたよろしくとこの場を借りてお願いしておきます。ありがとうございました。


ノリピーのラリー日誌でも違うマレーシアが紹介されるのでそちらもどうぞ。




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テーマ:モータースポーツ - ジャンル:車・バイク

  1. 2010/12/18(土) 13:49:19|
  2. 参戦記
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